お子さんがいらっしゃる皆さんへ。
お子さんが障害者に向かって
「あの人どうして車いすに乗っているの?」
「目が見えてないの?」
など、興味をもったとき、どのような言葉をかけますか?
よく聞く言葉、悲しい言葉
私は生まれつき、右目が全く見えていません。
また、見えていない目は「斜視」といって常に右上を向いています。
するとお子さんは気になってこう言います。
「お母さん。あの人、目が変…」と。
そのようなとき、私がよく聞く言葉が
「見ちゃダメ」
「そんなこと言っちゃダメ」
という言葉です。
31年の人生の中で、どうしてもこの言葉を聞くことが苦手です。
聞くと悲しくなります。
そう言われたくないので、お子さんとなるべく目線を合わせないようにした時もありました。
その一言はきっと、保護者の方の配慮から出る言葉なのでしょう。
しかし見方を変えると、大切なお子さんの「多様性理解」を妨げている可能性があります。
「障害のある人は見ちゃダメなんだ、かわいそうな存在なんだ」と思ってしまい、それ以上の関わりを失ってしまいますよね。
障害者ってかわいそうな存在?
私は講師として、多くの学校で研修を行っています。
そこで障害のある人に対するイメージを聞いてみると、
「かわいそう・生活が不便そう・頑張っている・ちょっと怖い」と、
お子さんたちの素直な気持ちを私に教えてくれます。
たしかに、障害者の中には生活の中に困りごとを感じている人がたくさんいらっしゃいます。
しかし、みんながみんなそうではありません。
例えば私。
右目は全く見えていませんが、左目はしっかり見えています。
さぁ、皆さん。
ここでどちらか一方の目を手で隠してみてください!
いまどのように見えていますか?
若干の見えづらさはあると思いますが、両目で見ているときとさほど違いはないはずです。
そうなんです。だから私、そんなに困ってないんです。
左目の視力は1.5あり、見える範囲(視野範囲)は175度あります。
遠近感もある程度つかめています。(球技だけは苦手)。
車にもバイクにも競技用の自転車にも乗りますし、学生時代はアーチェリーもしていました。
きっと皆さんと同じことができると思ってます。
よって私は、生活で困っていることもなく、かわいそうな存在でもありません。
きっと、このような思いを持っているのは、私だけではないはずです。
どんな人にも得意なことや苦手なことがあるように、障害のある人にもそれぞれ得意なことや苦手なことがあるんです。
「障害者だからかわいそう」「障害者だから全部助けてあげないと」ではなく、
「障害があってもなくても、困っている様子の人がいたら声をかける」ことで、
みんなが暮らしやすい社会になるのではないでしょうか。
子どもから聞かれたとき、何て答える?
では、お子さんに聞かれたときに、どう伝えるか?
繰り返しですが、「見ちゃダメ。言っちゃダメ。」ではありません。
まずは、「なんでだと思う?」と質問をしてみてください。
質問を質問で返す形にはなりますが、想像して考えてもらうことが大切だからです。
答えが出なければ一緒に調べてみるのも手です。
そして、最終的には「自分と違うことはいけないことではない」とお伝えください。
ちなみに、私がお子さんに目のことを聞かれたときは、このようにしています。
・目線を合わせる(話を聞いてもらう姿勢づくり)
・「実は生まれた時から、こっちの目は見えてないんだよ」と伝える
・「よかったら、どちらかの目を閉じてみてくれる?するとどう見えるかな?」という促し
・「きっとそんなに変わらないよね?実は僕もそう見えてるんだよ」と伝える
・「だからそんなに困ることはないんだよ!」
と伝えると、「そうなんだ!」と知ってくれます。
自分とは違う誰かと向き合う時、対話をすることや相手を理解することは大切ですが、
その前提となる「知る」ことの大切さにも気付いていただけると嬉しいです。
お子さんの「なぜ?」を「そうなんだ!」に変えることが、私たち大人の役割だと思っています。
まとめ
私が講師を務めるユニバーサルマナー検定では「そうなんだ!」のお手伝いができます。
最近は、学校で多様性理解についての授業があるので、そのおかげでしょうか。
大人の方だけでなく、小学生・中学生・高校生と多くの方にご参加いただいています。
また、コロナウイルスの影響で「おうち時間」が増えたこともあり、
親子で検定にご参加いただく方も非常に増えています。
夏休みももうすぐですので、よければご家族そろって検定を受講してみませんか?
私たちがこれから目指していくのは「障害のあるなしにかかわらず、すべての人がキラキラと輝き続ける社会」です。
その第一歩が、目の前の方と向き合うこと、知ることだと私は考えています。
ぜひ、この記事をご覧いただいた皆さまに実践いただけたらとても嬉しく思います。
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