12月2日(土)、東京ビッグサイトで開催した検定2級に、1組の親子が来てくれました。

なぜ親子で、週末にユニバーサルマナーを学びたいと思ったのでしょうか?

実際に受講してみて、どんなことを感じたのでしょうか?

小学校6年生の佐藤夢美さんと、お母様の美和さんの思いをお伝えします。

 

受講のきっかけは、パーキンソン病のおばあちゃん

 

Chikako Sato experiences wheelchair user

▲車いすユーザーの体験をする佐藤親子

 

夢美さん
「5年生の時に、パーキンソン病のおばあちゃんが家に来て、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた環境を整備していくことになりました。そこでバリアフリーやユニバーサルデザインに興味を持ち、ネットで調べていたときに、たまたまユニバーサルマナーのページにたどり着きました。将来は福祉の仕事に就きたいと考えているので、すぐに受けたいと思いました」

美和さん
「『教育のキモ』という本で、垣内さん(日本ユニバーサルマナー協会代表理事)の記事を読んでいたので、ぜひ受講してみたいと思いました。そして今年の夏に、まず3級を申し込みました」

 

 

夢美さんは、5年生の自由研究で、おばあちゃんと自分の違いをテーマにしました。

例えば、以下のような違いを、写真とともにまとめました。

・私は靴を履くけど、おばあちゃんは介護用のスリッパを履く
・私はランドセルを使うけど、おばあちゃんはデイサービスに行くためのバッグを使う
・私は足で歩くけど、おばあちゃんは車いすで歩く
・私は小学校に行くけど、おばあちゃんは老人ホームに行く

「なぜおばあちゃんと私は、違うのだろう?」

ここから、ユニバーサルデザインへの興味がぐっと増していきました。

 

「よっこいしょ」と言う意味に、検定で気づいた

 

Yokoisho

▲高齢者体験キットを装着し、お財布からお金を取り出す夢美さん

普段からおばあちゃんの大変さを知っている夢美さんですが、実技研修では、なぜ大変なのかを身を持って感じたそうです。

 

夢美さん
「おばあちゃんと一緒に買い物に行ったとき、レジにすべて小銭を出して支払いをしていたのを不思議に思っていました。ですが高齢者体験キットを装着して、お財布からお金を出して支払う体験をしてみて、その理由が分かりました。小銭を掴む感覚がなくなり、目が見えづらくなって、取り出しづらくなりました」

「立ち上がりのときや、歩いているときに『よっこいしょ』という意味も分かりました。声を出すことによって、よし頑張ろう、と小さな気合いを入れているんですね。私も言ってしまいました」

 

お母様の美和さんからも、気づきを伝えていただきました。

美和さん
「上肢障害があり腕や指先を使うことが難しい方が、紙に名前を書いてもらうときのサポート方法で、紙を押さえるサポートがあるのは脱帽でした。私は代筆を最初に思い浮かべましたが、時間がかかっても自分で書きたいという方もいらっしゃるんですよね。なんとなくサポート方法を知っているつもりでしたが、本当のユニバーサルマナーを知ることができました」

 

Notes on hearing impaired persons

▲聴覚障害のある方についてまとめたノート

ノートには、拍手を意味する手話の絵が描かれています。

この他にも車いすの部品を説明する絵や、視覚障害のある方の見え方について、丁寧に書かれていました。

知っているだけで、できる配慮が沢山あると、ユニバーサルマナーの意義を、佐藤親子は実感していました。

 

ユニバーサルマナーを自由研究のテーマに

実は夢美さん、夏にユニバーサルマナー検定3級を受講しました。

そこで得た学びを、もっと多くの人々に知らせたいと、自由研究のテーマにしたところ、なんと地方展で優秀賞にも選ばれました。

 

Universal Manners  summarized on paper

▲自由研究のテーマ「ユニバーサルマナー」を模造紙にまとめた様子

バリアフリーとユニバーサルデザインの違いや、ユニバーサルマナーの達人になる5箇条など、3枚の模造紙いっぱいにまとめています。

 

Sign language illustration

▲「なにかお手伝いできることはありますか」という意味の手話のイラスト

聴覚障害のある講師・薄葉から教わった「何か手伝うことはありますか?」の手話も、わかりやすいイラストで説明されています。

未来を担う子供が、全力でユニバーサルマナーを受け取ってくれたことに、スタッフ一同心から感動しました。

 

ユニバーサルマナーをもっと多くの方に伝えたい

夢美さんや美和さんは、ユニバーサルマナーをより多くの方々に知らせていきたいと語ります。

 

夢美さん
「おばあちゃんや、目の前の人が困っているときに『何かお手伝いできることはありますか?』というさりげない声かけをしていきたいです。そして、ユニバーサルマナーを家族や友人、学校に伝えていきたいです」

美和さん
「2020年にはオリンピック・パラリンピックのボランティアをしてみたいです。もしボランティアスタッフになれたら、ユニバーサルマナーの心構えを思い出して、様々な方々を温かい気持ちで迎えたいです」

 

Lecturers Yamada and Sato

▲講師の山田と佐藤親子

一緒に住んでいるおばあちゃんの住環境を整えたいという思いからユニバーサルデザインに興味を持ち、ユニバーサルマナー検定を受講してくださった、夢美さんと美和さん。

ユニバーサルマナーの体現者として、未来でのご活躍が楽しみです。