インターナショナル エア アカデミー
航空業界への登竜門として全国から注目を集めている専門校、インターナショナル エア アカデミー。2009年からユニバーサルサービスマナーを学んでいる中、2017年よりユニバーサルマナー検定とLGBT対応マナー研修に加え、妊婦体験や車いすでの街歩きも体験する2日間に亘る特別カリキュラムを導入しています。2年間で約100名の学生が参加・修了しました(2019年3月時点)。CAやグランドスタッフになること夢見る学生にとって、ユニバーサルマナー検定を受けるメリットを取材しました。
取材にご協力いただいた方のご紹介
東 久美子さん(左)
1992年、株式会社インターナショナル エア アカデミー入社。現在、取締役・副学院長。大学卒業後、幼児から成人までの教育、さまざまな企業研修プログラムに携わる。コミュニケーションマナー指導を中心に研修・セミナーに出講。認知症サポーターを養成するキャラバンメイトでもある。
高橋 雛乃さん(右)
2016年に高校卒業後、幼い頃からの「CAになりたい」という夢を実現するため、地元である愛媛を離れて同校に入学。留学コースプログラムを活用し、8か月間ニュージーランドに語学留学。帰国後「ユニバーサルマナー検定」を受講し、大手航空会社への就職を目指す。
ユニバーサルマナー検定の導入理由は?
(東)高齢者や障害者について理解を深める検定講座を導入した理由は、「近い将来、接客業務に就く学生にこそ必要な資格!」と強く思ったからです。飛行機の中ではもちろんですが、空港内では機内以上にサポートする機会が多く、グランドスタッフになる場合は特に必要となる知識や経験だと思います。また、CAやグランドスタッフを目指す学生は、生来、「人助けをしたい」と思っていますから、そういった学生とは相性がいいなと感じたのも導入した理由の一つです。他の検定ではなく、ユニバーサルマナー検定に魅力を感じたのは、障害のある当事者の方が講師をされているという部分でした。
検定を受講しようと思ったきっかけと感想を教えてください
(高橋)ユニバーサルマナー検定を受講した先輩から検定の内容を教えてもらったのですが、自分が知らないことばかりだと気づいたことがきっかけでした。私はCAを志望していますが、高齢者や障害者への正しい向き合い方を知らなかったら、夢を叶えたときにお客様をサポートすることができないと思い、絶対に必要だと思いました。実際に検定を受講したら、やっぱり知らなかったことも多く気づきの連続でした。今まで何気なく通っていた通学路でも、受講後はいろんな人の視点に立って考えられるようになり、日々の生活でも気づきが増えました。
≪検定2級 車いす実技研修中の様子≫
ユニバーサルマナーを活かすことができた!というエピソードはありますか?
(高橋)検定を受講して1か月ぐらいの時でした。学校の帰り道に白杖を持った女性を見かけたので、声をかけ、誘導することができました。それまでの自分だったら絶対に声をかけられなかったシチュエーションでしたが、検定を受けた直後だったということもあり、勇気を持って踏み出すことができました。誘導したのはほんの少しの距離でしたが、その女性はとても喜んでくださり、一歩踏み出してよかったなと思えた瞬間でした。
就職活動において、ユニバーサルマナー検定は活用できそうですか?
(高橋)今、実際にエントリーシートを書いている段階ですが、資格の欄にはユニバーサルマナー検定取得、LGBT対応マナー研修修了、認知症サポーターを記入しています。まだ就職活動は始まったばかりなので、実際にどのように活かせるかはわからないのですが、検定講座や街歩きで実体験として学んだことがあるので、就職後にこのスキルをどう活かせるのかを具体的に提示できそうです。
(東)もちろん活用できます!エントリーシートの資格の欄に記入することで、「何ができる人なのか」を明確に伝えられることが最大のメリットだと感じています。語学に関する資格はどの就活生も記入する事項ですが、ユニバーサルマナー検定取得やLGBT対応マナー研修修了を記入することで、多様な方へのサポートやユニバーサルマナーに関心があるということを示すことができるので、受講した学生は必ず記入して自己アピールに活用してもらっています。
LGBT対応マナー研修と街歩きについての感想もお聞かせください
(高橋)「LGBTが何を指す言葉なのか」という基礎知識すら知らなかったので、導入部分から学びの連続でした。自分が認識する性も恋愛対象の性も、本当に人それぞれであり、すべて「個性」だということを理解することができました。街歩きでは、学校周辺を車いすに乗ったり、アイマスクを付けたりして歩きましたが、校内の実技ではなかなか気づくことができなかった路面のデコボコ具合や、周囲の音の怖さなどに気づくことができました。
≪街歩き中の様子≫
その他にもさまざまな取り組みをされていると聞きました
(東)開校当初からの取り組みとしては、当事者の方を講師として招き、手話の授業を設けていることです。授業内では自己紹介ができるようになることが目標ですが、興味を持った学生は手話サークルに入ったり、高橋さんのように手話検定を受けたりと、手話に力を入れている学生もいます。また、認知症サポーターの授業も行っており、ユニバーサルマナー検定と同じように授業内で資格が取れるようにしています。このような授業によって、校外で自らボランティアに参加する学生も増えてきています。
今後の取り組みについて教えてください
(東)まずは東京や大阪の学校に通う学生にも、ユニバーサルマナー検定を受けてもらいたいですね。受講したい学生は多いと思うので、各校の学生に案内して受けてもらえるようにしていきたいです。また、もう少し大きな目標で言うと、2019年には福岡でもラグビーワールドカップの試合が開催されますし、2020年には東京オリンピック・パラリンピックがあるので、障害の有無や国籍を超えて、本当の意味での「ユニバーサルサービス」を福岡から発信していきたいです。「ユニバーサル都市・福岡」を表現できるよう、本校でも引き続き活動を行っていこうと思います。
≪LGBT対応マナー研修を終えて、講師と学生の皆さまで記念撮影≫