こんにちは!ココロです!
前編では人工内耳をつけている講師の薄葉さんへ、どんな夢を見るのか聞いてみたよ~。

前編はこちら

 

登場人物

 

ココロとミライのイラスト
ココロ(左)

薄葉
ユニバーサルマナー検定講師
薄葉ゆきえ(聴覚障害、人工内耳装着者)

…聴覚障害のある講師として「外見からは見えにくい障害」に対する理解推進を目指し、全国の企業・自治体・学校などで講演を行う。

 

目次


障害と向き合うために必要な3つのステップとは?
ピアサポートとは?
聴覚障害のある人も多種多様
最後に

 

障害と向き合うために必要な3つのステップとは?


ココロ
薄葉さんは講師の仕事をしているから『どのように障害受容したのか』など、自分の障害の向き合い方について質問されることは多いんじゃない?
もしよかったら教えてほしいな。


薄葉
これも良い質問だね。

私の経験上、障害と向き合うために大事なことは、まず自分自身が障害を正しく理解することだったかな。聞こえないってことは、一体どういうことなのか、社会生活を営む上でどういった支障が出るのか、しっかりと理解することが大事なんだと思う。

次のステップとしては、主観的に障害について考えるだけでなく、周囲の人から自分はどのように捉えられているのかも客観的に理解すること。周囲の人との関係性まで広げて障害を考える感じかな。

そして、次のステップは障害の社会モデルを理解した上で、障害の全体像を把握すること。それが障害受容のスタートラインだと思うな。


Group 6

ブログ「障害の社会モデルとは?」


ココロ
障害の社会モデルはユニバーサルマナー検定でも伝えているね。

あくまで想像だけど、ココロだったら自分の障害を受け入れるのに時間がかかってしまいそう。


薄葉
もちろん、障害のある人といってもさまざまだから、その人の価値観とか、性格によって障害の受け止め方や障害受容の進み具合も違うと思う。前に進むための時間が必要なこともある。

元々自分自身と向き合うことが苦手な性格の人にとっては、障害に向き合うことが大変なときもあるんだ。そういう場合には周囲の人の手助けも必要だよね。
ココロは『ピアサポート』って知ってる?

 

ピアサポートとは?


ココロ
ピアサポート?


薄葉
自分と同じ境遇の人同士で助け合うことだよ。

例えば
・聴覚障害はどういう障害なのか
・どういう社会的障壁が発生するのか
などを同じ聴覚障害のある人から教えてもらうこと。

そして、自分の経験からどのように日常生活の課題を解決したのか共有してもらって、自分自身の生活に活かすこと。私自身も聞こえない世界の住民になった時に聴覚障害のある先輩たちから色んなことを教えてもらって、聴覚障害について学んだよ。

ココロ
もっと詳しく教えて!


薄葉
私の場合は、まず専門機関に相談して、聴覚障害のある職員の方から聴覚障害についていろいろと教えてもらった。そこで「よかったら、手話を学んでみない?」って勧められて、手話講習会に通ったの。
手話の学習を通じて、自分と同じ聴覚障害のあるたくさんの友人達と出会ったんだ。


ココロ
薄葉さんは元々聞こえていたから、手話は使っていなかったんだよね。
講習会にはどれくらい通ったの?


薄葉
週に1回、2年間通ったよ。
もちろんそれだけでなく、手話を日常的に使用している方を紹介してもらって手話をたくさん教えてもらったよ。


ココロ
そうなんだ。
薄葉さんは聞こえない人の世界に入る前は、自分と同じ聴覚障害のある人達との交流する機会はなかったんだよね?障害のある人は社会の中では少数派だから、自分と同じ障害のある人に出会うのって難しいのかな。


薄葉
街中で偶然出会うみたいな方法は難しいんだよね。

特に、聴覚障害のある人は見た目では分かりにくいから、仮に出会ったとしても一見してわからないじゃない?今はSNSを使うことで同じ障害のある人同士も繋がりやすくなっているけどね。ちなみに、私が紹介してもらった手話講習会は聴覚障害のある人たちが通う講習会だったんだ。
画像 並んでいる椅子

 

聴覚障害のある人も多種多様


ココロ
なるほど。手話講習会には手話を学びたいと思っている聞こえる人が通うイメージがあったけど、聴覚障害のある人が通う手話講習会もあるんだね。


薄葉
そうなの。そういえば、ココロは手話サークルに通っているよね?
手話サークルは聞こえる人も聴覚障害のある人も両方いるよね。

私が通った手話講習会にも、本当に色んな境遇の人がいたな。私みたいな中途失聴者もいたし、生まれつき聞こえない人もいた。高齢者になって聞こえにくくなったから、手話を学び始めた人もいた。その方はお年が80歳を超えていたよ。
中途失聴者とは?(大阪府)

ココロ
勉強を始めるにあたって、年齢は関係ないんだね!


薄葉
お年を重ねてから聞こえにくくなった加齢性難聴の人で手話を学び始める方は少ないけど、その方はとても意欲的に手話を学んでいたよ。手話講習会は本当に興味深い場所だった。

想像してみて!80歳の受講生と大学生の受講生が一緒の教室で手話を学んでいたの。年齢も性別も聞こえなくなった経緯も境遇もすべてが違う。受講生の共通点はたった1つ、聴覚障害のあるってことだけ。

聴覚障害の人もさまざまなんだな~ってその手話講習会で経験したんだ。

ココロ
聞こえる世界の人から見ると、どうしても『聴覚障害のある人』って一括りで捉えてしまいがちだけど、障害の有る無しに関係なく、みんなそれぞれ1人の人間だものね。

だからこそ、障害の有無に関係なく、まずは人として向き合うことが大事なんだね。


薄葉
ユニバーサルマナーの基本だよね。


ココロ
今日は大事な話を聞けて良かった。薄葉さん、ありがとう!
今年もたくさん質問しちゃうと思うけど、またいろいろと教えてね。


薄葉
こちらこそ、ありがとう。今年もたくさんお話ししましょうね!

 

最後に


ここまでお読みいただいた皆さま、いかがでしたか?
聴覚障害のある人がみる夢のお話から、障害との向き合い方、ピアサポートまで、新年早々たくさんの話題が出ましたね。

「障害のある人もさまざま。だからこそ、障害の有無に関係なく、まずは人として向き合うことが大事。」

という言葉がとても印象的でした。今年も”みらいとココロのシリーズ”をたくさんお届けできればと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、また次の記事でお会いしましょう!