障害のある方がどのように生活をしているのか、生活の中でどのような工夫をしているのか、素朴な疑問を持ったことがある方も多いはずです。日常生活について、普段はなかなか聞く機会がないテーマについて、皆さんが疑問に思っていそうなことを、ユニバーサルマナー検定の講師に質問してみました!今回は聴覚障害のある講師・薄葉に、災害への備えについてインタビューしました!

★別記事「【聴覚障害者のライフハック】チャイムやアラームにどうやって気づくの?」はこちら

 

目次

火災報知器にはランプを外付けして対応
災害発生時の備えは?
いざという時に本当に必要なのは「人のサポート」?
最後に

 

話す人・聞く人


話す人

薄葉
株式会社ミライロ ビジネスソリューション部 ユニバーサルマナーチーム 講師
薄葉ゆきえ

…聴覚障害のある講師として、「外見からは見えにくい障害」に対する理解を中心に、全国の企業・自治体・学校などで講演を行う。



聞く人

神保
株式会社ミライロ 経営企画部 広報担当
神保さほり

 

火災報知器にはランプを外付けして対応


神保
前回は家電製品など日常的に自宅で使用しているものについて聞きましたが、今回はいざという時に必要な物、火災報知器について聞かせてください。火災が発生した際にアラームが鳴る火災報知器がありますが、薄葉家ではどのように対応されていますか?
薄葉
聴覚障害のある方は音声情報の代わりに、目で見てわかる視覚情報が必要になります。我が家では、火災報知器はランプが点灯する機器を設置しています。パトランプが点灯すれば、火災が発生しても、すぐに気が付けます。
神保
確かにそうですね。ただ、目を閉じている時、例えば、就寝中に火事が起こった場合には、パトランプが点灯しても気が付けないのでは?
薄葉
はい。おっしゃる通りです。就寝中に火災が発生した場合、触覚で感知できる機器が必要ですね。例えば、枕の下に火災報知器と連動し、振動するような機械です。
神保
そうした機械も販売されているんですか?
薄葉
はい、インターネットからも購入可能です。ただ私はまだ購入できていないので、今は家族に起こしてもらうしかありません。家族が家にいないこともあるので、購入を検討しています。

災害発生時の備えは?


神保
町内の防災放送など、自宅以外の音声情報はいかがですか? 災害発生時だけでなく、家にいると毎日定刻で聞こえますよね。

画像 自治体の放送器具


薄葉
防災放送に関しては、居住地区の自治体に事前に登録しておくと、スマートフォンやモバイルフォンに防災放送と同じ文面のメールが届く自治体が多いと思います。ただ、スマートフォンやモバイルフォンを持っていない高齢の聴覚障害者もいるので、対策として、字幕付きの防災ラジオを貸与している自治体もあるようです。
神保
たしかに、デジタル機器に詳しくない方や苦手な方もいますから、大切な施策ですね。実際にメールは受け取られたことはありますか?
薄葉
ありますよ!地震・津波に関する情報や、大雨・雷の警報などに加えて、「地域で子どもたちを見守りましょう!」といった内容など、大きな災害だけではなく、さまざまな情報が届きます。

画像 警報・注意報情報メール文画像 防災無線提示放送内容メール


神保
そうなんですね!町内の防災放送は聞こえづらいこともあって、窓を開けたけど聞き逃してしまった!ということもよくあるので、文章で届くのは便利ですね!

いざという時に本当に必要なのは「人のサポート」?


薄葉
はい。ただし、いざという時の避難には、やはり、人のサポート、例えば、自治体職員の方や町内の方のサポートが必要になるのではないかと思います。いざという時のために、自治体に避難行動要支援者登録をしておくと共に、日頃から、地域社会の方々と関わりを持ち、良好な人間関係を築いておくことも大事だと思います。
神保
家族や友人以外でも、同じマンションや隣の家に住む人などと助け合えるのが理想的ですよね!そのためには、自分とは違う誰かと向き合う姿勢やコミュニケーションが大事ということですね。
薄葉
ユニバーサルマナーですね。もちろん、人にすべて頼るのではなく、防災情報を事前に入手し備えておくことや、機器を購入して準備するなど、自分でできる範囲の自助も大事ですが、共助や公助も含め、最後は人と人の繋がりが大事だと思います。
神保
本当にそうですね。皆さんの周りにも、もしかすると障害ある方が住んでいるかもしれません。災害が起きた際は「近くで誰かが困っているかもしれない」と思うだけで、サポートできることがたくさんあると思います!薄葉さん、今日は災害への備えについて教えていただき、ありがとうございました。
薄葉
こちらこそ、ありがとうございました!

 

最後に


今回は聴覚障害のある薄葉の災害への備えについてご紹介しました。いかがでしたか?日常生活についての工夫に続き、災害時も最新の家電やスマートフォンなどがとても役に立つことがわかりました。
ただ一方で、「最後は人と人の繋がりや関係性が大事」という薄葉の言葉も印象的でした。
この記事が、皆さんと聴覚障害のある方を繋ぐきっかけになれば、大変嬉しく思います。

★別記事「【聴覚障害者のライフハック】チャイムやアラームにどうやって気づくの?」はこちら