こんにちは、ミライです!
今回は初登場の講師・田中さんへ、日常についてインタビューしました!

田中さんにとっての「障害」とは、なんでしょうか?

 

登場人物

 

ココロとミライのイラスト

ミライ(右)

 

image 1

ユニバーサルマナー検定講師 田中利樹

 

 

 

目次

 

視覚障害者の『意外な?』趣味

片目が見えない人の『不便』とは?

見た目からの分かりやすさで起きる『障害』

『障害者』は見てはいけない存在?

最後に

 

視覚障害者の『意外な?』趣味

 

ミライ

いつもは視覚障害のある講師として活躍されている田中さん。趣味はカメラや車の運転と聞いたよ!仲がいいから質問しちゃうけど、視覚障害がある人の趣味としてはあまり聞かないような……?

田中

僕は右目が見えないだけなんだ!だから車の運転もできるし、一眼レフカメラで撮影もする。休みの日は車で遠出して、景色がきれいな場所を撮影するのが趣味だよ!
写真 ライトアップされた木写真 車

(↑実際に撮影した写真)

ミライ

素敵な趣味!写真もきれい~!
そういえば学生時代はアーチェリー部に所属していたよね!
日常生活や仕事をする上で困りごとはないの?

 

片目が見えない人の『不便』とは?

 

田中

困りごとというより、ちょっとした不便がある感じかな。
例えば、見えていない側に死角ができることとか、色覚特性があるから信号機をの色を少し判別しにくいとかかな。でも、工夫のおかげで今はあまり不便に思ってないけどね!

ミライ

例えばどんな工夫をしているの?

田中

左側の歩道だと、見えていない右側に車が走っている状態だよね。それだと怖いので、通行する車と対面して歩くために右側の歩道を歩くようにしているよ※。色の見え方についても緑や赤が少し判別しにくいだけで、見分けられないというほどでもないかな。だから前職では自動車教習所の指導員をしていたんだよ。

交通ルールから見ても問題ないです!
(警視庁『日本の基本的な交通ルールを教えてください』)


ミライ

教習所の指導員だったんだ!じゃあ、日常生活で「障害」はないの?

田中

物理的な困りごとは少ないんだけど「障害」は存在しているんだ。

 

見た目の分かりやすさで起きる『障害』

 

田中
僕は右目が見えない。そして、見えない方の右目は動いていないから「みんなと目が違う」ことが一目瞭然なんだ。僕と初めて会った人は、動いていない右目を見て驚いた顔をする。そして、その後は見てはいけないものを見てしまったように目を逸らして、気まずそうな表情になるんだ。
僕は生まれつき視神経に腫瘍があって右目が見えないんだけど、それは僕にとっては「普通」のこと。困りごともないし、普段は特に意識していない。ただ、人の視線や態度によって、自分が「視覚障害者」であることを意識させられるんだよね〜。

ミライ

なるほど……。
それで田中さん自身も、相手の過剰な気遣いに居心地が悪くなってしまうわけだね。

田中

そうそう。
聞きたいことがあれば、直接聞いてくれた方がこちらとしても気が楽なんだけどね(笑)

大人の場合は遠慮があるから、直接何かを言われることはないんだけど、子どもの場合、言葉に出して直接指摘してくることもある。例えば、保護者さんと一緒にいるとき「ママー!あの人、目が変だよ~」って(笑)

ミライ

子どもは良くも悪くも正直だからね~。保護者さんは慌てるだろうね……。

田中

たいていの場合は「ジロジロ見ちゃいけません!」とか「失礼なことを言ってはいけません!」って、子どもをたしなめる人が多いかな。

ミライ

ミライも車いすに乗っているから、街中でたまにそういう対応をされることがあるよ。そういう時、ミライは「見てくれてもいいのにな~」って思っちゃう。「車いすについて知りたいことがあれば質問してくれてもいいのにな……」って。
悪意のない指摘をされた時って、田中さんはどんな風に対応しているの?

 

『障害者』は見てはいけない存在?

 

田中

人によるとは思うけど、僕もミライと同じで気分を害することはないかな。そういう時ほどニッコリ笑って「こんにちは」って挨拶するよ。「僕に聞きたいことがあれば、質問していいからね!」って思いを込めて、手を振ったりね。

ミライ

見ること自体をタブー視されると、子ども心に「障害者は見ちゃいけない存在なんだ」って、禁忌の意識が芽生えてしまうよね。そして、大人になった時にそうした過剰な意識から「障害のある人に障害について聞いてはいけないんだ」っていう心理的な距離ができてしまうことは多い気がする。

田中

そうそう。そうした心理的な距離から、障害者のある人とうまくコミュニュケーションが取れなくなってしまうことも多い。だからこそ、障害者に対する苦手意識をもってほしくなくて、そういう時ほど笑顔で接するように心がけているんだ。

ミライ

苦手意識が少しでもなくなってくれるといいね!

田中

社会にはいろいろな特性を持った人がいること、多様な人たちがいて社会が成り立っていることを小さな子どものうちから、少しでも知ってもらえたらうれしいな。僕ら障害のある人が、障害のない人との間に心の垣根を作らないようにすることも大事だよね。

ミライ

そういえば全盲の講師・原口さんも同じことを実践しているって言っていたな。ミライも実践してみようかな!
田中さんとたくさんお話ができてよかった。ありがとう!

田中

こちらこそありがとう!

 

最後に

 

ここまでお読みいただいた皆さま、いかがでしたか?

今回は、困りごとはなくても、外見上わかりやすい障害特性がある講師のお話でした。

過剰に気を遣われる心理的な距離が、講師の思う「社会的障壁」というお話、大変勉強になりました。大人も元々は子どもです。子どもの頃から、障害のある人と気兼ねなく接する機会が増えれば、大人になっても障害のある人とコミュニュケーションがとりやすくなりそうです。

ユニバーサルマナー検定でもお伝えしていますが「障害は人ではなくて環境に存在する」もの(障害の社会モデル)。環境には、私たちの意識のあり方も含まれます。意識が変われば、環境も変わっていきます。

本日のお話が皆さまのお役に立ちましたら、うれしく思います。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。