皆さん、こんにちは。ユニバーサルマナー検定講師の田中です。
普段は視覚障害のある当事者講師として日本全国で、検定や研修を担当しています。

 

はじめに

私は生まれつき右目が全く見えていません。しかし元自動車学校の教習指導員でした。

父の影響で幼少期から車が大好きで「大人になったら絶対車に携わる仕事に就く」という思いのもと、小学4年生になるころには国産車の名前をすべて覚え、中学生のころには車のエンジン音でどのメーカーの車かが分かるようになりました。思えば、私が何かを読むというと小説などではなく、いつも車雑誌でした(笑)。

今日はそんな車オタクの私が、車に関するユニバーサルデザインについてお話しします。

イラスト 車をめでている人

 

「ドア」の種類

車のドアというと、パッと想像できるのは「グリップハンドル」ではないかなと思います。グリップを握って手前に引いて開けるハンドルです。

しかし、実は1990年代は「フラップハンドル」が主流でした。手の平を上にした状態で指を引っ掛け、手前に引いて開けるハンドルです。

グリップハンドルとフラップハンドルの詳細はこちら

フラップハンドルが主流だった理由として、
・比較的構造が簡単で安価であること
・空気抵抗や風切り音を軽減できること
・ボディと同化していてデザイン性が高いこと
が挙げられています。

実際に、走りに特化したスポーツカーにおいては今でもフラップハンドルを採用しているメーカーが多数あります。
※ポルシェ911や日産のフェアレディZなど
※スポーツカーではありませんが、走りにこだわっているBMWの新型5シリーズや4シリーズ、X1もほぼフラップ式に近い形を採用しています

 

なぜグリップハンドルに変わっていったのか?

なぜ「グリップハンドル」に変わっていったのでしょうか?

グリップハンドルなら、何らかの理由でドアが開かなくなった際に、ロープ等をくぐらせて引っ張ることができます。このように安全性の向上が主な理由です。

それが結果としてユニバーサルデザインに配慮されていたのです。

上記で説明したように、フラップハンドルだと手の平を上に向け、指に力を入れてドアを開けます。しかし、上肢障害のある人にはそれが難しい場合があります。その点、グリップハンドルであれば、下からでも上からでも手でしっかりと掴みやすく、力が入れやすい。それだけでなく、ネイルをされている方などもグリップハンドルであれば開けやすいですよね。

 

ハンドルの進化

いまでは、グリップハンドルだけでなく、パワースライドドアであったり、トランクドアが足元のセンサーにかざすだけで開いたり、自車の鍵を持っている人が車に近付くことで後席のスライドドアが開く車もあります。
たくさん買い物をしたときやお子さまを抱っこしているときなど便利ですよね!

ちなみに、欧州車などの高級車ではボタン一つでドアが開く車が少しずつ流行ってきています。

イラスト 鍵を所持している状態でボタンを押してドアを開けている様子

このように、車には意図せずユニバーサルデザインとなった部分があります。
ぜひ、皆さんで探してみてくださいね!