こんにちは、全盲の講師・原口です。

梅雨も明け、学校は夏休みに入ったということで、今回は夏の風物詩「花火」の思い出について
お話ししたいと思います。

生まれつき全盲の私にとって、急に大きな音がする花火はただただ怖いものでした。

また、周りの人はそれを見て「きれい!」と盛り上がっているのに対して、その「きれいさ」がわからない私は疎外感すら感じていました。

しかしある年の夏、親戚のおじさんから

「花火の音は打ち上げられるものによって違う」

ことを初めて教えられました。
それと同時に、見える形も違うことも知りました。

私「今の音、きれいだった!」
おじさん「でも形が崩れちゃっていたよ…。」
などの会話を続けることで初めて気づいたことがありました。

それは

「耳で音を聞いて、見えたものを教えてもらいながら楽しむ」

という花火の新しい鑑賞方法でした。

そしてこの日を境に、大嫌いな花火は毎年楽しみな夏の風物詩へと変わりました。

この花火大会がきっかけで、私は少しの工夫と思いやりで、視力の有無に関係なく同じ空間で同じものを楽しむことができると学びました。

そして今では野球観戦やダイビングなど、一見目で見て楽しむものと思われがちなことも、見える人と一緒に楽しんでいます。

「自分の耳で音を聞き、人の視力を借りて想像すること」は、見えない私だからこそできる、楽しみ方だと思っています。