こんにちは、ユニバーサルマナー検定講師の薄葉です。もうすぐクリスマスがやってきます。
皆さんはどのように過ごされますか?
今日は公式キャラクターのココロとともに、聴覚障害がある私のクリスマスディナー体験談をお伝えします。
◇前編はこちら
登場人物
ココロ(左)
ユニバーサルマナー検定講師
薄葉ゆきえ(聴覚障害、人工内耳装着者)
…聴覚障害のある講師として「外見からは見えにくい障害」に対する理解推進を目指し、全国の企業・自治体・学校などで講演を行う。
目次
・補聴器ユーザーに対する“さりげない配慮”
・音マナーは聴覚障害のある人の泣き所?
・こんな食器があったらいいな!
・そもそも、マナーは何のためにあるもの?
・最後に
補聴器ユーザーに対する“さりげない配慮”
音マナーについてはいろいろ経験しているかな。以前、少しフォーマルなレストランで聴覚障害のある友人たちと食事会をした際、食事の音マナーについてお店の人から注意を受けたことがあって……。
え?どんなことを注意されたの?
補聴器ユーザーの友人と食事した際は、補聴器がハウリングを起こしていたみたいで、お店の方から“音が漏れていますよ”って教えていただいたんだ。
ハウリングは、補聴器のイヤーモールド(耳栓の部分)が耳にうまくはまっていない状態の時にピーピー音が起こる現象だね。静かなお店だと気になってしまう音だなあ。
その時はお店の人が気を遣ってくれて、紙に“音が漏れているようです”って書いて渡してくれたよ。
“さりげない配慮”だね。ハウリングを起こしている補聴器ユーザーが気にしないように、書いて伝えてくれたんだね。
音マナーは聴覚障害のある人の泣き所?
他には?
もう1回の時は、友人たちと手話で会話をしながら食事をしていたときだな。
手話って、手を使うじゃない?
手話で会話する度にナイフやフォークをお皿に置かないといけないんだけど、カトラリーを置く音がちょっと大きかったみたいで、近くの席のお客さんから“食器の音が耳障りでうるさい””とお店の人に注意があったみたい。
それと、その時は聞こえにくい友人もいたので、話し声が少し大きくなってしまって、もう少し声を落として会話をしてほしいともお願いされてしまって……。
確かに聴覚障害のある友達と食事する際は少し賑やかになってしまうことがあるかもしれないな。
最初は私達も気を付けて食事していたのだけど、お酒が入って段々と注意力が散漫になってしまって、途中から少し賑やかになってしまって……反省……。
そのあとはもちろん反省して“すみません、気を付けます”って謝り、注意しながら食事したよ。
こんな食器があったらいいな!
最初は私達もしゅんってなったけど、その後はそうでもなかったの!
私の友人はポジティブな性格な子が多くてね、どうしたら聴覚障害のある人も音のマナーを守れるかって前向きな対話になったんだ~。
へえ~、すごい!
その日は聴覚障害のある子だけではなく、聞こえる友人も同席していたから、聴覚障害のある子達から“どういう音がうるさいって感じる?”って質問が出てね。
例えば、ナイフやフォークを置く際の置き方を教えてもらったり、お皿の上で音を出さずに料理を切り分けるコツを教えてもらったりしたよ。もちろん、控えめな声でね!
そうなんだ。あらためて考えてみたら、食事の際に音を出さないマナーって聞こえる人の場合でも気を付けないといけないね。ココロも意識していないと、お皿とカトラリーがぶつかってカチッって音を出しちゃったりするもん。楽しくなってくると、つい話し声も大きくなっちゃうし。
そうだよね。だから、その日もおもしろいアイデアが出たんだよ。例えば、お皿にナイフやフォークを置いても音が出にくい加工が施されたお皿があったらいいんじゃないかってね!
それだったら視覚障害のある人とか、肢体不自由の人とか、お子さんとかでも音を出さずに食事ができるかもね!
そうだよね。環境面からの調整も有効だなと思ったよ~。
そもそも、マナーは何のためにあるもの?
お互いに相手の立場を思いやることは大事だよね。
社会には聞こえる人も聞こえない人も一緒に生活しているんだし、お互いの生活習慣や文化を理解し合って、双方が気持ちよく生活できる方法を考えていけると良いな。
ユニバーサルマナーの基本だね。ユニバーサルマナー検定でも伝えているのだけど、マナーは多種多様な文化や考え方の人が暮らす社会の中で、私たちが安心・安全に暮らすための知恵や技術。みんなが心地よく暮らしていくために必要な共通認識を持つことが大切なんだよね。
ココロも友達といろいろと話し合ってみたいな。
そうだね、気心の知れた家族や友達同士だからこそ、気兼ねなく話し合えるわけだし。お互いに遠慮し合って腫れ物に触るような対応になるよりは、お互いにきちんと話し合って解決できるといいよね。
うん。今日はありがとう!
今日はココロとたくさんお話できて楽しかった。私の体験談が少しでもココロのお役に立てたのならうれしいな。
最後に
ここまでお読みいただいた皆さま、ありがとうございました。いかがでしたか?
今日は聴覚障害のある人と食事する際の音マナーのお話でした。
ハード(環境面)の調整を試みつつ、最後はソフト(ユニバーサルマナー)でみんなが安心して生活できる社会になるといいですね。
ココロも聴覚障害のある友達とクリスマスディナーを楽しめることでしょう。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!