こんにちは。ユニバーサルマナー検定講師の原口です。
これまで講演などで多くの方から
「全盲で一人暮らしだと、物の収納はどのように行っているのですか?」
と質問をいただくことがありました。
今回は、全盲で一人暮らしの私がどのように物を収納しているかお伝えします。
片付け場所の工夫
引き出し付きのタンスや収納ボックスを使用し、洋服や小物などをジャンル別に入れていることが多いです。
「下着は右のタンスの1番上の引き出し」
「部屋着は左のタンスの真ん中の引き出し」
と場所を決めて収納しているので、すぐに目的のものを取り出すことができます。
一人暮らしを始めた当初は配置をなかなか覚えられなかったので、覚えるまでは引き出しに点字で「下着」「スポーツウェア」などと書いて貼っていました。
それから何度か引っ越ししていますが、引き出しの位置や中身は全く変えていません。引っ越しすると「あれはどこに入れたっけ」と物を探すことがあると聞きますが、私は決めた場所から変えないので、もの探しはあまり発生しません。
そもそも普段から自宅で時間をかけて物を探すことはないように思います。これは収納場所をしっかりと決めて、覚えることができるという私の強みなのかもしれません。
「物の住所を決める」。おすすめです。
今日着る服の選び方
外出時の洋服選びをどのようにしているのかという質問もよくいただきます。上述した通り、ジャンル別で洋服の収納場所を決めているので探すことは簡単にできますが、洋服には色があります。
以前は服を購入した時点で店員さんや一緒に買い物に行った家族、友人に色を教えてもらい、手触りで「この服は何色」と覚えていました。また、手触りがよく似ているネクタイやハンカチなどは収納場所の順番で把握していました。
最近はスマートフォンアプリを使用しています。カメラを対象のものに向けると、その色を音声で読み上げてくれるスグレモノです。
手触りと色を記憶するのは正直かなり大変で、以前は洋服を多く持たないようにしていたのですが、アプリのおかげでさまざまな洋服を選べるようになりました。
視覚障害のある方は収納上手?
私の場合は家の中にあまり物を置かず、タンスや引き出しの中にほとんどの物を収納していますが、同じ視覚障害のある友人の中には、家のあらゆる場所に物を置いている人もいます。視覚障害の有無にかかわらず、収納の方法はその人の性格によって全く違うことがわかります。
最近は、これまで一生懸命覚えていた洋服の色などをスマートフォンが読み上げてくれるようになり、一人暮らしがかなり楽になったと感じています。
一方で、アプリに頼ることにより、以前はしっかり覚えていた服の手触りと色が頭の中で全くつながらなくなっています。これまでは晴眼者の友人に「この服何色?」と聞かれればすぐに答えることができて「すごいな!」とほめてもらえるので、自分の中の特技だったのですが……。
残念ながら最近はその特技が使えなくなっています(笑)。