こんにちは。ユニバーサルマナー検定講師の薄葉です。

昨日はバレンタインデー、皆さんはどのように過ごされましたか?
日本ではパートナーや友人同士でチョコレートを送り合ったり、世界各国ではお世話になっている人たちへ花やメッセージカードなどを送り合ったりと、文化風習は多種多様なようです。

今日は、相手に想いを伝えるバレンタインにちなみ、文字のコミュニケーションについて一緒に考えてみましょう。

登場人物

 

ココロとミライのイラスト
ココロ(左)

薄葉
ユニバーサルマナー講師 薄葉ゆきえ(聴覚障害、人工内耳装着者)

 

 

目次


はじめに
『自分とは違う人』に文字で想いを伝えたい!
価値観が違う人との交流は視野を広げる
相手に『伝わる』書き方のポイントとは?
日本語って習得が難しい〜
日本語が母語ではない人への配慮
さいごに

 

はじめに


薄葉
ココロは誰かにチョコレートをあげるの?


ココロ
友達と手作りのお菓子を贈り合う予定なんだー!どんなお菓子を作ろうかな♪


薄葉
この数年は感染予防の観点から食べ物を贈り合うのは遠慮する風潮があったけど、少しずつコロナ禍が落ちついてきて、バレンタインデーを満喫できるのは嬉しいよね!


ココロ
コロナ禍で友達と直接会える機会も減ってしまっていたでしょ?今年のバレンタインデーは普段の感謝の気持ちを伝えるために、メッセージカードも送ろうと思ってるんだ。

 

 

『自分とは違う人』に文字で想いを伝えたい!


薄葉
友達も喜ぶだろうね!
ところで、ココロは文字で気持ちを伝える際に、意識していることはある?


ココロ
相手が読みやすい丁寧な字を書くことと、相手に伝わりやすい文章を書くことかな。


薄葉
『伝える』ではなく、相手に『伝わる』ことを意識しているんだね。

ココロ
うん!薄葉さんも『伝わったつもりが伝わってない』というミスコミュニケーションを回避する方法について研修で伝えてるよね!


薄葉
伝えているよ!
手紙の場合、対面でのコミュニケーションとは違って相手が目の前にいないから、一方的に『伝える』ことになってしまうのは仕方ないことだけど『伝わらない』とか『意図とは違った伝わり方をしてしまう』ミスコミュニケーションは起こさないように注意したいよね。

 

価値観が違う人との交流は視野を広げる


ココロ
友人同士って『自分と価値観が似ていて気が合う』人同士が仲良くなる場合が多いから、どうしても、世代が同じとか、育った環境が似ているとか、似た者同士の付き合いになってしまいがちだよね。だから、普段は特にミスコミュニケーションは起こりにくいかもしれないけど、友人の輪を広げていくと、価値観が違う・育った環境も置かれている環境も違う人同士が友人関係になることもある。そういう時は、コミュニケーションにおいて配慮が必要になってくると思う。


薄葉
おっしゃる通り。特に社会人になって多種多様な人と出会う機会が増えて交友関係が広がると、どうしてもコミュニケーションの際に『伝わらない』とか『意図とは違った伝わり方をしてしまう』ことはよく起こるよね。だからといって、それを面倒に思って、自分と感性や価値観が似た人とばかり一緒にいると自分の視野を狭くしてしまうこともある。


ココロ
自分と合わないと思う人とは交流しない・コミュニケーションを取らない『ディスコミュニケーション』は日常でよくある。でも『自分とは違う人』を回避せずに、コミュニケーションを取ることも時には大事だよね。

 

 

相手に『伝わる』書き方のポイントとは?


薄葉
手紙を書く際、ユニバーサルマナー検定でも伝えている筆談のポイントを取り入れると、読みやすい文章になると思うよ!ただ、気持ちを伝えたい場合、読みやすさを優先して文章を簡略化しすぎてしまうと、気持ちが十分に伝わらないこともあるよね……。


ココロ
「いつもありがとう!」という一言でも嬉しいけど、どんな風に「ありがとう」なのか、自分の気持ちをしっかりと伝える必要があるね。


薄葉
そうだね。相手の立場に立って、どんな風に伝えたら喜んでもらえるか、想像することも必要だね。ちなみに、ココロの友達の中には、海外から日本に移住してきた人や手話を日常的に使う聴覚障害者のある人もいるよね?そうした人達は、日本語とは違った文法体系の言語が母語だから、より『伝わる書き方』をする配慮が必要だよね。


ココロ
うん!日常会話は問題なくできても、日本語の読み書き、特に漢字が苦手とか、聴覚障害者のあるお友達の中には日本語の文法が少し苦手な人もいる。

 

 

日本語って習得が難しい〜


薄葉
日本語は世界でも習得が難しい言語と言われているよね。米国合衆国国務省が公表した『言語習得難易度ランク』※って、聞いたことはある?英語が母語の外交官が言語を習得する際の難易度ランクのことなんだけど、日本語は最高難度に認定されてるんだよ!

Foreign Language Training(U.S.DEPARTMENT of STATE)

ココロ
知らなかった!日本語ってそんなに難しいんだ。


薄葉
一般の人よりも言語能力が高いであろう外交官でも、日本語で日常的や専門的コミュニケーションにほぼ支障が出ないレベルに達するためは、約2,200時間が必要なんだって。


ココロ
たしかに、日本語は主語や目的語を省略することもあるし、漢字に音読みと訓読みがあるから、日本語が母語の人でも読み間違えや書き間違えは日常茶飯事だよね〜。


薄葉
加えて、日本語は『て、に、を、は』などの助詞の使い分けが難しいよね。例えば「水でいいです」や「水がいいです」のように、1文字違うだけでも、言葉の意味が変わってしまうじゃない?日常で日本語を使っているとほとんど意識していないけど、格助詞など助詞の種類だけで4種類もあるんだよ……。

ココロ
こんがらがってきた……。外国語や手話を使う友達の苦労にあらためて気づけた気がする。薄葉さんが研修のなかで「手話が母語の聴覚障害のある人には、障害への配慮だけでなく、言語的・文化的な外国人としての配慮も必要」と伝えている意味を再確認したよ。


薄葉
日本語が母語でない人にとって、第2言語としての日本語の習得は本当に大変だと思う。本当はそうしたカテゴライズをせずに、みんなが配慮し合えればベストなんだけど、身近に聴覚障害のある人がいない場合は、ある程度カテゴライズしたほうが困難をイメージしやすいこともあるからね……。
他に、日本語が母語ではない友達に手紙を書く際に注意していることはある?

 

日本語が母語ではない人への配慮


ココロ
難しい漢字は避けたり、二重表現のような回りくどい言い回しはしないように気を付けてる!


薄葉
もちろん、語学力は人によって異なるから一概には言えないけど、簡単な日本語を心がけることは大事だよね。
私も、手話が母語の友人にメールを送る際は

  • 結論から伝える
  • 要点を明確にして一文を短くする
  • 主語は省略しない
  • 語尾を曖昧にしないで言い切る
  • 句読点を意識して入れるようにする

ことを心がけてるよ!


ココロ
日本で暮らしているとつい自分の読解力を基準に考えてしまいがちだよね……。社会には文字の読み書きに困難を感じる障害※がある人もいるから、誤字がない正しい文法で日本語を書きさえすれば相手に通じるという思い込みはよくないんだね。

※ディスレクシア…知的に障害がないにもかかわらず、文字の読み書きに困難のある障害
 ブログ「文字が読めない、書けない。ディスレクシアとは?」

薄葉
そうだね。本来的には、外国語や手話など多言語の情報保障を行うことが肝心だと思うけど、すべての場面で多言語対応を行うのは現実には難しかったりするから、読みやすい文章で書くことを一人ひとりが意識することも、配慮として必要になってくるよね。相手の立場に立つユニバーサルマナーにも通じる心がけだと思うよ!


ココロ
あとは伝えたい気持ちを大切にしたいな!『伝えたい想い』があるのとないのとでは、きっと伝わり方も違ってくると思う。しっかりと自分の気持ちを伝えるメッセージを考えてみるね!

 

最後に


ここまでお読みいただいた皆さま、いかがでしたか?
今日は、読みやすい文字でのコミュニケーション方法や、日本語が母語ではない人への配慮のお話でした。

自分の気持ちをしっかりと伝えつつ、相手に『伝わりやすい』文章を書くことはユニバーサルマナーの実践にも繋がります。ココロのメッセージもお友達に喜んでもらえることでしょう。

それでは、また次の記事でお会いしましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!